研究課題/領域番号 |
08876059
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用獣医学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
上塚 浩司 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (60251419)
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研究分担者 |
土井 邦雄 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (70155612)
中山 裕之 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (40155891)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1996年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | アセトアミノフェン / 高トリグリセリド血症 / 肝腎毒性 / ラット |
研究概要 |
病態動物における薬物の毒性発現様式の修飾機構に関する基礎的研究の第一歩として、病態動物としてフルクトースの飲水投与で誘発した高トリグリセリド血症(TG)ラットを、また、薬物としてアセトアミノフェン(APAP)を用いて検討した。 正常ラットではAPAPによる病変は肝小葉性肝細胞壊死が特徴的で、腎病変はごく軽微であった。ところが、高TGラットではAPAPによる病変は高度の腎尿細管壊死が特徴的で、肝病変はほとんど目立たなかった。このように、血中の中性脂肪値が高いというだけでAPAPの肝腎病変が逆転するという極めて興味深い知見が得られた。 本実験系で認められた高TGラットにおけるAPAPによる腎毒性増強のメカニズムについては、1)APAPの腎中濃度の増加、2)腎での代謝活性化経路の変化および3)代謝産物であるPAPの代謝活性の亢進が関与していることが示された。一方、高TGラットにおけるAPAPによる肝毒性の減少のメカニズムについては確定的な証拠を掴むことは出来なかったが、in vitroの系で証明されているフルクトースの肝細胞保護効果、肝でのグリコーゲン蓄積によるAPAPのグルコロン酸抱合経路の亢進、フルクトース代謝亢進による肝細胞のturnover亢進の結果としての傷害に対する抵抗性の獲得等の可能性が示唆された。 本研究で、薬物の毒性発現様式が生体側の状態によって大きく修飾されることが実証された。今後、もっと色んな病態下での薬物の毒性発現様式の修飾機構に関する検討を続けて行く必要がある。
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