研究課題/領域番号 |
08876062
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物資源科学
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
日鷹 一雅 愛媛大学, 農学部, 助教授 (00222240)
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研究分担者 |
大林 延夫 愛媛大学, 農学部, 教授 (20253320)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1996年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 水田養魚 / 生物多様性 / 水田生態系 / ドジョウ / 農業生態学 / 環境保全型農業 / 水稲栽培 / 持続的農業 |
研究概要 |
1. ドジョウと水田生物多様性の関連性 中国・九州地方のドジョウ生息地域やドジョウ養殖水田におけるフィールド調査から、ドジョウ生息地の生物多様性を評価した。島根県出雲地方・熊本県南部・兵庫県西部、広島県西部の中山間地域水田には、タガメ、コガタノゲンゴロウ(環境庁のレッドリスト種)やゲンゴロウ(県のレッドリスト種)などの絶滅の危機に瀕した水生昆虫が高密度で生息していた。これらの特異的な地域では、ドジョウをはじめ水生生物相は比較的豊かなものであった。またドジョウあるいはコイ養殖水田では、タガメ、コガタノゲンゴロウ、ゲンゴロウの高密度の生息が確認でき、これらの種の繁殖地になっていた。これは一時的水域である水田に対して、恒常的水域である養殖池がこれらの水生昆虫の生活環の完結に重要な役割をしていることを示唆している。 2. ビオトープ水田の試み 附属農場と兵庫県に水田から転換して造成したビオトープ池では、ドジョウやメダカなどの導入を行ったが、そこでは水田調査だけでは見い出せない多様な生物相が確認できた。このような恒常的水域を造成する行為を行えば、ある程度地域の生物多様性を保全できる可能性が出てきた。 3. ドジョウ養殖導入が水稲作や水田生態系に及ぼす影響評価 ドジョウ養殖導入と水稲作の両立の可能性についてメソコズム実験による検討を行った。水稲の生育はドジョウ養殖で悪影響は受けなかった。雑草発生は今回のドジョウ養殖の導入によって抑制される結果は得られなかった。今後は、減農薬栽培との組み合わせを検討すべきである。 4. 総括 ドジョヴ養殖導入は、ドジョウが本来水田を繁殖場所に利用している仕組みを活用することにある。一時的水域としての水稲栽培水田と恒常的水域としての養殖・ビオトープ水田を空間的にうまく配置すれば、養殖導入により、生物多様性保全などの高いレベルの生態系機能活用型の農生態系が実現できる可能性が示された。
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