研究課題/領域番号 |
08877026
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
医化学一般
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
吉川 潮 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 教授 (40150354)
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研究分担者 |
黒田 俊一 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 助教授 (60263406)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1996年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 蛋白質リン酸化酵素 / 一酸化窒素 / プロテインキナーゼC / 修飾反応 / RACプロテインキナーゼ / 免疫沈降法 / 活性制御 / 蛋白質リン酸化反応 |
研究概要 |
一酸化窒素はグアニル酸シクラーゼを標的とし細胞内サイクリックGMP濃度を上昇させ、サイクリックGMP依存性プロテインキナーゼによる蛋白質リン酸化反応を介してその作用を発揮していることが通説となっている。しかし、各組織におけるcGMP依存性プロテインキナーゼの分布、発現量では一酸化窒素の広範な作用を説明できず、一方、一酸化窒素による蛋白質修飾反応が生じることも知られている。そこで、本研究では一酸化窒素がサイクリックGMP依存性プロテインキナーゼ以外の蛋白質リン酸化酵素に直接作用することを仮定し、プロテインキナーゼCファミリーをモデルとして一酸化窒素をはじめとするストレスシグナルによる各種の蛋白質リン酸化酵素の活性制御の検討を行った。試験管内で一酸化窒素を作用させた結果、プロテインキナーゼCファミリーのうちδ分子種の脂肪性活性化因子(ジアシルグリセロールおよびリン脂質)非存在下の酵素活性が上昇することが示された。そこで、プロテインキナーゼCδ分子種を培養細胞に高発現させ、細胞を一酸化窒素処理後、δ分子種を免疫沈降しその活性を測定したところ、試験管内ほどの顕著な効果はみられず、ごくわずかな活性上昇が観察された。一方、プロテインキナーゼCと高い相同性を示す蛋白質リン酸化酵素であるRACプロテインキナーゼは、熱ショック等のストレス処理により顕著な活性上昇が観察されたが、一酸化窒素処理によっては、やはり、顕著な活性化は観察されなかった。これらの結果から、特定の蛋白質リン酸化酵素は、少なくとも試験管内では一酸化窒素により活性制御を受け、また、RACプロテインキナーゼが各種のストレスにより活性化を受けることが明らかになり、各種の細胞ストレスによる蛋白質リン酸化酵素活性の制御機構についてその分子機構解明の端緒となる結果を得ることができた。
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