研究概要 |
1)BCL6蛋白質を特異的に認識する抗体を作製し,同蛋白質の同定を試み,BCL6蛋白質が92-98kDのリン酸化核蛋白質であること,リンパ装置のgerminal center B-cellに強く発現しているが,mantle zoneならびにmarginal zoneのB-cellや,plasma cellには殆ど発現していないことを見いだした.すなわち,B-cell lineageではある特定の分化段階で発現することが明きらかとなった.さらに悪性リンパ腫におけるBCL6蛋白質を観察したところ,diffuse large cell lymphoma(DLB), follicular lymphoma(FL), Burkitt lymphomaではBCL6遺伝子の再構成の有無にかかわらずほとんどの症例で強い発現を認めた(Blood, 86, 28, 1995)。 2)他の血球細胞における発現を調べたところ、ヒト急性骨髄性白血病の一部で発現を認めた。これらの症例は単球性細胞の形質を持つものが多いことから、単球性分化とBCL-6蛋白質発現に相関があるのではないかと考え、promonocytic cell line U-937細胞をTPA刺激により単球性の分化を誘導したところ、BCL-6の発現も誘導されることが見いだされた(Leukemia, in press)。 3)BCL-6蛋白質のアミノ酸配列にMAP kinase(MARK)の基質となりうる配列を多数みられたため、精製したMAPKを用いてin vitro kinase反応実験を行ったところ、BCL-6蛋白質が強くリン酸化された。さらにBCL-6蛋白質をtransientに発現させたfibroblastを用いてin vivoにおけるリン酸化実験を行ったところ、in vivoにおいてもBCL-6はMAPKの基質となりうることがわかった。そこでさらにBCL-6を生理的に発現するB-cellを用いてMAPK pathwayを活性化させるとリン酸化は高まったが、このリン酸化はMAPKK inhibitorにより抑制された(Oncogene,in press)。
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