研究概要 |
NF-IL6ノックアウトマウスは、少量のリステリア菌の腹腔内感染により死亡し、細胞内寄生細菌の感染に対して極めて弱い。このマウスのマクロファージは、取り込まれたリステリア菌を殺菌できず、細胞質内にリステリア菌がエスケープし分裂、増殖していた。マクロファージによる殺菌機構に重要なNO産生に異常はみられずNO非依存性の殺菌作用の存在があきらかとなった。マクロファージにおける殺菌機構にかかわるNF-IL6のターゲット遺伝子を同定するため、IPTG添加によりNF-IL6を発現誘導できる安定形質導入株をマウス骨髄性白血病細胞株M1において樹立し、NF-IL6誘導前後のmRNA間でサブトラクションをおこなった。Suppressive Subtractive Hybridization法を用いてサブトラクションライブラリーを作製し、1500クローンをスクリーニングした。その結果、既知の標的遺伝子であるhaptoglobin以外にMIP-1a,Osteopontin,CD14のmRNAがNF-IL6誘導後顕著に増大することが判明した。このうち、MIP-1aに関しては、転写開始点から175bp上流のプロモーター内にNF-IL6の結合配列が3ヵ所存在することおよびluciferase assayの結果から標的遺伝子であることが証明された。今後さらにスクリーニングをくりかえすことによりマクロファージにおける殺菌機構にかかわるNF-IL6のターゲット遺伝子を同定するつもりである。
|