研究概要 |
1)生体免疫染色法に関する基礎的検討 抗EMA抗体および抗CEA抗体を用い消化管の切除新鮮標本から小組織片を採取し、免疫組織化学的染色に供し新鮮標本のまま、種々条件下に通常のABC法による免疫組織化学的染色を行い、染色性を検討した。食道粘膜においては抗原抗体反応を発現させ、充分な発色を得ることに成功した。さらに胃粘膜においては、粘膜洗浄を併用することにより部分的に抗原抗体反応を発現させ得ることを確認した。 2)胃粘液除去を目的とした前処置法の検討 通常内視鏡観察において支障となる胃粘液を除去する目的で,一般的には蛋白分解酵素あるいは界面活性剤を用いているが,組織学的に粘液層の評価を行った報告はなく、前処置をした群としなかった群で健常者を対象に生検標本における胃粘液層の厚さを測定したところ,前処置施行群で若干ではあるが粘液層の減少を認めた.生体染色にも障害となるであろう胃粘液層の除去にはどのような条件が望ましいかを検討中である. ラットを用いた生体免疫染色 ヒト大腸癌担癌ヌードマウスの腫瘍部を麻酔下に露出させ,既に交叉反応があることが確認されている抗CEA抗体,抗MUC-1抗体を生体条件のまま反応させたところ,一部ではあるが反応を確認した.また,ラット消化管に反応性の確認されているサイトケラチン17を用い,同様に麻酔下に大腸粘膜面を露出させ反応を施したところ,エタノール処理を行った切片で抗原抗体反応が起こっていることを確認した.
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