研究概要 |
種々の線維化状態を呈する慢性肝疾患患者の肝生検組織について免疫組織学的に検討したところ,線維化の程度に応じて肝組織内に細胞外マトリックス(フイブロネクチン、I、III、IV型コラーゲン、ラミニン、テネイシン)の沈着が増加する傾向が認められた。また,ヒト分離肝細胞を用いた検討では,この初代培養肝細胞でアルブミン、プレアルブミンが,蛋白およびmRNAで発現していることが確認された。 次に,採取した肝生検組織について,各種インテグリンレセプター((VLA-1、2、3、4、5、6)の発現を検討した結果,これらは免疫組織化学的に肝実質細胞,肝内浸潤リンパ球、マクロファージで発現していることが確認された。 また,肝生検材料からRNAを抽出し,マトリックス分解酵素(MMP-1)、TNF-α、IL-1、HGFのmRNA発現についてRT-PCR法で確認したところ,慢性肝炎では肝組織中でこれらのmRNAが発現し,これらの物質が肝の病態形成に関わっていることが示された。
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