研究課題/領域番号 |
08877147
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
精神神経科学
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研究機関 | 富山医科薬科大学 |
研究代表者 |
斎藤 治 富山医科薬科大学, 医学部, 助教授 (20270944)
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研究分担者 |
萩野 宏文 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (10272915)
倉知 正佳 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (80019603)
鈴木 道雄 富山医科薬科大学, 附属病院, 講師 (40236013)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1997年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1996年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 磁気共鳴画像(MRI) / 海馬体 / 表在髄板(supeerficial medullary lamina,SML) / 髄鞘化 / 発達 / 加齢 / 死後脳標本 / 定量 / 表在髄板 / 海馬 |
研究概要 |
髄鞘化myelinationは脳機能発達の形態学的指標である。海馬体領域のsuperficial medullary lamina(SML)(表在髄板)は、思春期を越える長期の発達変化が死後脳で唯一定量化されている構造であり(Benesら,1994)、海馬体と海馬傍回を結ぶperforant pathを含む海馬体傍辺縁系の重要な神経連絡路である。本研究では、冠状断面積で平均数mm^2と極めて小さな構造である表在髄板を、MRIにより生体脳で定量するために以下の計画を立てた-(1)表在髄板を描出するための最適MRI撮像法の確立、(2)MR画像上での表在髄板の定量、(3)死後脳の連続組織標本を用いた表在髄板の定量。昨年平成8年の初年度は、(1)死後脳標本と健常者を対象とした検討から3D-MRIの撮像条件を確定し、(2)MRI信号に基づくMR画像上での表在髄板の同定法を確立した。本年平成9年度は、表在髄板の定量的評価の第一歩として異なるage groupの計12名(年齢8歳・75歳)を対象にMRI信号値に基づく定量を行い、以下のような予備的結果を得た。第一に、表在髄板、海馬傍回白質の各信号値ならびに両者の比(表在髄板/海馬傍回白質)の各平均値は、いずれも年齢が高い群で信号値が高くなる傾向を示し、年齢と共に表在髄板の髄鞘化が進むことを反映した結果であると考えられた。第二に、表在髄板の信号値は、左半球では海馬体後方部のみ、右半球では海馬体前方部のみで、年齢との相関が有意であった。海馬体領域の左右半球ならびに前後軸(吻側-尾側)に関する機能地図は動物を用いた基礎的研究分野でも未だ確立されていない。本所見が今後充分な標本サイズを用いて再現されるならば、ヒト生体脳における海馬体領域の発達的機能地図の作成にも寄与しうる可能性も期待できる。今後は、表在髄板をはじめとする側頭葉内側部の髄鞘構造について、既に用意した海馬全長にわたる連続組織標本と対照しながら精度の改善を図り、定量作業を進めていく予定である。
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