研究概要 |
(1) In-vitro実験 1. In-vitroにおけるlipiodol加adenoviral vectorの感染,遺伝子発現についてひと肝癌細胞株であるHepG2細胞へadenoviral vectorを感染させ,lipiodolを加えた群(LIP群)と加えていない群(CON群)で遺伝子(beta-galactosidase)の発現をみたところ,両群間に有意差を認めず,dose-dependentに発現を認めた. 2. In-vitroにおけるlipiodol加adenoviral vectorの毒性Thimidine kinase遺伝子を組み入れたadenoviral vectorのHepG2細胞への毒性も比較試験でも両群間に有意差を認めず,dose-dependentに細胞毒性を認めた. 3. In-vitroにおけるlipiodol加adcnoviral vectorによる遺伝子(Thimidine kinase)導入後の遺伝子機能について Thimidine kinase遺伝子を組み入れたadenoviral vectorのHepG2細胞への感染後,ganciclovirを投与し,自殺遺伝子システムが機能するかどうかを検索したが,両群間に有意差を認めず,肝癌細胞に対し有効であった. 以上より,lipiodol加adenoviral vectorはadenoviral vector単独と同様の効果,生物学的特性を有していることが証明され,in-vivoへの応用に期待がもてる結果となった. (2)In-vivoの実験 1. ラット肝癌モデルによる肝癌担癌ラットの作製L2A2細胞の門脈内注入により肝癌担癌ラットモデルの作製に成功した. 2. ラット肝癌モデルによる肝癌担癌ラットへのlipiodol加adenoviral vectorの投与 Lipiodol加adenoviral vector(beta-galactosidase遺伝子を含む)を門脈内,肝動脈内,直接腫瘍に注射の3経路にて投与し,遺伝子発現の分布を調べたが,腫瘍には発現が制限されており,肝癌担癌ラットモデルの腫瘍のvascularityを検索したところ,vascularityに乏しいことが証明されたため,現在新たなモデルを作製中である.
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