研究概要 |
本年の研究では、これまでに確立されたヒト角膜内皮(米国内眼球銀行提供)を主に実験に供した。特殊なサイトカインや因子、遺伝子を一切使わないヒト角膜内皮は、ヒト抹消/リンパ球との共培養実験系の実現が比較的容易であった。このヒト抹消リンパ球との短期/長期共培養の結果、昨年度においては、ヒト角膜内皮が「両刃の剣」的なリンパ球制御活性を示していることが判明したので、本年度においてはさらに、flow cytometryによるリンパ球膜表面分子の共培養による発現率の変化を解析した。即ち、CD4,CD8,CD25,CD24ROを、培養前後において分画解析した。その結果、角膜が存在しない非共培養において、CD25(-)のリンパ球が選択的に絶対数が減少しており、結果的にCD25(+)のリンパ球の比率が上昇していた。角膜が存在する共培養では、CD25(+)のリンパ球の比率上昇は認められなかった。今後においては、本萌芽的研究にて開発されたこのシステムを土台として、さらなる角膜免疫機能の機序解明、さらにはその因子の臨床応用の可能性について、順次検討してゆく計画である。
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