研究概要 |
本年度は、3種のブロム脂肪酸メチルエステル(8-ブロムオクタン酸メチルエステル(1a),11-ブロムウンデカン酸メチルエステル(1b),16-ブロムバルミチン酸メチルエステル(1c))についてGabriel反応を行い、相当するフタルイミド誘導体-フタルイミドオクタン酸メチルエステル(2a),フタルイミドウンデカン酸メチルエステル(2b)およびフタルイミドバルミチン酸メチルエステル(2c)-をそれぞれ90%、86%、87%の好収率で得た。また上記で得られた3種のフタルイミド誘導体のうち2aを用い^1H-NMRおよびMass等の機器分析にて化学構造を決定した。更に高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(条件-カラム:Fatty Acid Analysis,溶媒:THF/MeCN/H_2O=5/9/7,流速:1ml/分)にて、1cとフタルイミドカリウムとの反応における関連化合物の分離・精製を検討した結果、フタルイミド誘導体(2c),16-ブロムパルミチン酸メチルエステルおよび16-フルオロパルミチン酸メチルエステルの保持時間はそれぞれ7.1分,4.9分,4.4分であり、HPLCによる分離・精製ではフッ素化合物はブロム化合物からよりもフタルイミド誘導体からの方が,より容易に分離できることがわかった。 平成8年度の実験結果と以上の結果よりGabriel反応を利用するとブロム化合物とフッ素化合物との混合物から、ブロム化合物のみを収率良くフタルイミド化合物に変換できることがわかった。またHPLCによる分離・精製ではフタルイミド誘導体とフッ素化合物との分離が比較的容易であることがわかり、当初の研究目的に沿った基礎データが得られた。今後上記の反応を[F-18](短寿命ポジトロン放出核種)標識薬剤合成に適用し、その実用性を検討していく予定である。
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