研究概要 |
1.研究の目的 手話単語は基本的に手の形,手の位置,掌の向き,手の動きという4つのパラメータで構成されている.さらに,このパラメータの変更により手話単語の意味を変更するという手話独特の造語法を持っている.研究代表者の一連の研究成果は,市販の手話辞書に記載されている手指動作記述文間の類似度をその動作特徴に基づき定義し,手話単語を同値類に分割(分類)する方式を提案したものである.本研究課題は,この同値類に分類された結果に基づき,類似動作単語として分類された単語群に共通の類似概念は何かを明らかにし,手話単語を体系化を試み,動作の類似性と意味との関係を明示するシソ-ラスの構築に関する研究を行う. 2.研究方法 最初に,手話辞書に記載の手指動作記述文を形態素解析して単語単位に分割を行い,類似度を計算し,同値類に分割した動作特徴に基づく体系化(階層化)辞書を作成する.次に,同値類としてクラスタリング内の単語に対する動作の差を手指動作記述文との比較により,明らかにし,意味との関係を考察する. 3.研究成果 上記の方法に従い,手話単語の体系化を行った.その結果,動作の類似した単語群内に動作特徴のあるパラメータを変更することで類似の概念(意味)を内包してるペアと意味の類似性の見られないものに分離できることが明らかになった.これにより,本体系化方式の有効性が実証された.また,手話単語の動作特徴の中で,手の位置と手の動きが,意味の弁別に果たす役割の貢献度の割合が,他の特徴より,大きなウエイトを占めることが分かった. 4.今後の展開 今後は,意味と動作の類似性と相違性を体系化した分類データを電子化辞書の検索辞書の索引と捉えた,手話単語の検索インタフェースに組み込み,辞書検索の検索効率と学習者の満足度に基づく評価実験により,本体系化の実証研究を行う必要がある.
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