研究課題/領域番号 |
08878089
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物有機科学
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
杉本 直己 甲南大学, 理学部, 教授 (60206430)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1996年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 核酸 / 機能性分子 / リボザイム / 遺伝子切断 / 擬似酵素 / 金属イオン / 最近接塩基対パラメータ / 反応メカニズム |
研究概要 |
いろいろな機能をあわせもつ機能性核酸分子として最も有望なのが、リボザイム(ribozyme)である。リボザイムは、エイズや癌などの遺伝子を切断したり、遺伝子の発現を制御する新しいタイプの“核酸薬剤"として注目されている。しかしながら、このような機能性核酸分子の開発にあたっては、解決しなければならない問題も少なくない。その主な問題点は、1)リボザイムがヌクレアーゼなどに対して非常に不安定であること、2)リボザイムのダウンサイジング、3)リボザイムの反応効率がよくない(反応速度が遅い)ことの三点にあると考えられる。特に、2)、3)のリボザイムのダウンサイジングと反応効率の改善に関しては、リボザイムと金属イオンの関係が大切である。 そこで、本研究では、2)、3)の問題の改善のために、Pb^<2+>イオンによってRNAの非塩基対部位を特異的に切断する小型リボザイムであるレッドザイム(鉛リボザイム)を対象として、RNA分子の配列特異的な切断反応と金属イオンとの関係を検討した。その結果、25μMPb^<2+>と同濃度の金属イオンを添加しても、切断部位は一箇所に保持されることが示された。また、希土類イオンのNd^<3+>を添加した場合、切断活性は39.8%と著しく増大した。しかも、切断箇所は一箇所のみであり、位置特異的な切断が保持されていた。Nd^<3+>単独では切断活性は認められなかったことから、この切断効率の増大は、Nd^<3+>とPb^<2+>イオンの協同的触媒作用によるものと考察できる。他の希土類イオンでも、Nd^<3+>と同様に50μMPb^<2+>条件下よりも、リボザイムの切断活性が2〜4倍向上する効果が認めら、反応効率は著しく改善された。本研究で開発した新型リボザイム系は、低濃度の金属イオンで活性を示し、高濃度の金属イオンを必要とする他のリボザイムよりも、生体系における応用範囲が広く、さらに高性能化できる可能性を秘めている。
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