研究課題/領域番号 |
08878091
|
研究種目 |
萌芽的研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
構造生物化学
|
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
蛯名 洋介 徳島大学, 酵素科学研究センター, 教授 (00112227)
|
研究分担者 |
岸 和弘 徳島大学, 酵素科学研究センター, 助手 (70284320)
林 日出喜 徳島大学, 酵素科学研究センター, 助教授 (10218589)
|
研究期間 (年度) |
1996
|
研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
|
配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1996年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
|
キーワード | インスリン / GLUT4 / トランスロケーション / PI3-キナーゼ / グルコース取り込み |
研究概要 |
インスリンは生体へ投与後直ちに血中グルコース濃度(血糖値)を低下させることのできる唯一のホルモンであり、その作用を担っているのが膜を12回貫通するタンパクであるインスリン反応性グルコーストランスポーター(グルコーストランスポータータイプ4:GLUT4)である。インスリンはその標的組織である筋肉・脂肪細胞において、通常は細胞内膜分画に存在していたGLUT4を細胞膜表面上に移行(トランスロケーション)することにより濃度勾配に従って、グルコースを細胞内に取り込み、その結果血糖値を低下させる。このようにGLUT4は最も特徴的なインスリン作用を担う重要な分子である。インスリン結合により活性化されたインスリンレセプターチロシンキナーゼは、PI3-キナーゼを活性するがその先どのような因子が関与し、またどのような分子メカニズムでGLUT4のトランスロケーションを引き起こすのか、明らかにする事を目的とする。 しかし、インスリン刺激で活性化されたPI3-キナーゼがGLUT4のトランスロケーションを引き起こすのに必要かつ十分であるのかは議論のあるところであり明らかでなかった。そこで我々はインスリンレセプターとIRS-1をほとんど発現していないRat3Y1細胞を用いインスリンシグナル伝達の再構成を試みた。3Y1細胞を安定にインスリンレセプター、IRS-1、GLUT4mycをcDNAを介して発現させた細胞を作った。その細胞はインスリン以外のNaFやPMAなどの刺激によってはGLUT4mycのトランスロケーションが起こるので、GLUT4mycをトランスロケーションさせる装置はもっているものと思われる。この細胞をインスリンで刺激するとインスリンレセプターチロシンキナーゼの活性化、IRS-1のチロシンリン酸化、PI3-キナーゼの活性化は起こるが、GLUT4mycのトランスロケーションはみられなかった。このことからRat3Y1細胞においてはPI3-キナーゼの活性化がGLUT4mycのトランスロケーションに必要かつ十分ではないことが明らかとなった。
|