研究概要 |
哺乳類脳組織より非イオン性界面活性剤不溶性低比重画分(TIF)を調整しこの画分に存在する蛋白質について解析を行った.主要なタンパク因子については免疫ブロット法,2次元電気泳動,および部分アミノ酸シークエンスにより同定を行い,チューブリン,アクチン,NAP-22,GAP-43,ヘテロ三量体Gタンパク質,数種のチロシンキナーゼ類の存在を示した.GPI-アンカー蛋白質についてはフォスファチジルイノシトール特異的フォスフォリパーゼCによる膜画分よりの可溶化を試み,N-CAM,Thy-1の他に数種の蛋白質が可溶化することを発見した.アミノ酸配列よりこれらをF3/contactin,T-cadherin,更にOBCAM(opiate binding cell adhesion molecule)あるいはLAMP(OBCAMとLAMPは最近同定された細胞接着因子)と同定したが他の1つは新規の蛋白質であることを見い出した.これについてはcDNAクローニングをほぼ終えようとしている.またこのTIFを抗原に多数のモノクローン抗体を得,これらの抗原の内,この画分に極剤する分子の1つはcDNAクローニングに進んでいる.この抗原は免疫組織化学的解析によってシナプス部に局在することが確かめられた.またブタノール抽出によりTIFより特定のタンパク因子群が可溶化されることを発見した.これはこの領域における脂質とタンパク質との相互作用の解析への手がかりをあたえるものである.
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