研究概要 |
1.今まで有していたノロウイルス様粒子の1996年株に加えてGII/4の2006b株(わが国で流行が見られた株)に対しても作製した。さらにサポウイルスI/2,I/5とIVに対してもVLPを作製し、その中でサポウイルスI/2に対するモノクローナル抗体を用いたイムノクロマト(IC)を開発した。このICはサポウイルスI/2に反応の限局性があった。今、広範囲のゲノタイプ、ゲノグループに反応する抗体を得ようとしている。同様な方法でアストロウイルスに対するICを開発したが、これも用いたG1に特異的な反応があった。 2.現在市販されているロタウイルスのICが十分に使えるか、またPCRとの比較はどうかを3社のキットで行ったところ、1社では感度が88%であるものの、他は感度,精度で90%を超え、有用と考えた。 3.タイ国での2005年の147下痢便から下痢症ウイルスをPCR法で検査し、10がノロウイルス陽性、5がサポウイルス陽性であった。さらにゲノタイプ、サブゲノタイプの解析をし、GII/4-d変異株を見出した。タイ国での継続的なロタウイルスの検査では2002-2003に多かったG9が減少してきたが、1989年のころのG9と比較すると変異が起こっていることがわかった。また、G、P、NS4など分節を比較すると動物由来の分節と思われるものがヒトロタウイルスに見られることがわかった。 4.コブウイルス属のなかにヒトに感染するアイチウイルスがあるが、ヒトでの検出に続いて動物、とりわけブタについてコブウイルスをタイ国と日本で調べたところ、糞便中に遺伝子の存在が確認された。今のところヒトへの感染は報告されていないが今後検討する必要がある。
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