研究概要 |
ヌエ川堆積物中の重金属濃度はサンプリングの位置や金属の種類によって大きく変化した。ヌエ川の堆積物はCd,Cr,Cu,Pbにより著しく汚染されていた。重金属濃度は、以下のようであった。Cu=71-420mg/kg,Pb=77-433mg/kg,Zn=150-350mg/kg,Cd=0.7-8.7mg/kg,Cr=80-583mg/kg,Ni=32-70mg/kg.重金属濃度はほとんど、作物生育に関する最大許容レベルを上回った。ヌエ川堆積物中の重金属濃度は、トーリック川からの流入水により著しく増加し、下流においても作物生育の許容レベル以下にまで低下することはなかった。堆積物中の総重金属濃度は、粘土分含量、有機物量の両者と相関関係にあった。 トーリック川からの汚染水の影響を受けたサンプリング地点における農地土壌中のCr,Cd,Cu,Pbの濃度は、農地土壌に関するベトナムの基準の許容レベルを超えていた。土壌中の重金属濃度は、CrとPbを除いて、ヌエ川堆積物中の重金属濃度の増加とともに増大した。これらの結果は、河川堆積物の著しい汚染が、農地土壌中の高い重金属濃度の原因であることを示している。
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