研究課題
特別研究員奨励費
イネを乾燥、高塩、冠水処理することにより誘導される遺伝子として、液胞膜表面に存在し、液胞膜を貫通しているアンチポーターを制御することにより、細胞質から液胞への塩輸送に関わる可能性のある新奇遺伝子(OsARP:がアンチポーター制御タンパク質遺伝子)を発見し、単離した(2008)。本タンパク質の植物界全般における普遍的な存在と機能を明らかにするために、ゲノム情報の利用が可能なシロイヌナズナから3種のARP (AtARP1,2,3)のアイソフォーム遺伝子(を単離し、それぞれのアイソフォームの過剰発現シロイヌナズナ、機能抑制シロイヌナズナを作出し、細胞内局在性、耐塩性について検討した。また、イネからOsARPタンパク質と結合するアンチポーターの単離を試みた。3種のAtARPはGFP蛍光観察により、液胞膜に存在する可能性が示された。3種のAtARP過剰発現シロイヌナズナを食塩処理したときに、野生型と比べて、何れの過剰発現体も、若干の違いはあるが、ナトリウムとカルシウムの植物体への取り込み量が多く、カリウム取り込み量が低かった。食塩処理時の発芽率、生重量、根長を測定することで過剰発現体の耐塩性を評価した。アイソフォームにより耐塩性、浸透圧耐性に差が認められ、AtARP3>AtARP2>AtARP1の順であり、AtARP1過剰発現体は殆ど塩耐性、浸透圧耐性の向上を示さず、AtARP3がイネのOsARPと同様高い耐性の向上を示した。なぜ、3種のアイソフォームが液胞膜に存在するのか、それぞれのアイソフォームの機能にどのような違いがあるのかは今後の課題である。OsARPタンパク質を大腸菌で大量発現し、OsARPタンパク質カラムを作成し、結合するタンパク質を単離したところ、2種の結合タンパク質が確認された。このタンパク質の同定、さらなる結合タンパク質の単離を進めている。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)
Plant and Cell Physiology 49-6
ページ: 880-890