研究概要 |
銀河中心核、超巨大ブラックホールと母銀河の共進化の理論モデル(Kawakatu & Wada 2008, ApJ出版済み)を発展させ、z>6の高赤方偏移クェーサーの形成可能性について重要な理論的予言を行った(Kawakatu & Wada 2009, ApJ出版済み)。また、ブラックホール成長段階を観測的に探る新しい方法を提唱し、結果を現在まとめており、まもなく投稿する予定である(Kawakatu & Ohsuga,準備中)。これらの理論予言と観測との比較を行うために、昨年からドイツのMPE研究所のR.Davies等のグループとの共同研究を始めたところである。 活動銀河核ジェットの力学進化を探るために、相対論的ジェットの速度とジェット周辺の高温ガスの音速とを比較することで、超音速ジェットと亜音速ジェットを分ける条件について調べた。その結果、巨大な超音速ジェット(>10キロパーセク)の形成が「ジェットパワー」と「銀河内の高温ガスの密度」の比の最大値によって決まることを予言した(Kawakatu, Kino, Nagai 2009, ApJL,出版済み)。さらに、コンパクトで若い電波銀河における狭い線領域の特性(電離状態、密度、温度など)に注目し『降着円盤-ジェツト関係』の探索を行った。結果として、降着円盤からの電離光子のエネルギー分布が、電波強度の弱い活動銀河核と異なることが分かった。この結果は活動銀河核ジェットの形成条件を探る上で重要な示唆を与えるものである(Kawakatu, Nagao, Woo, 2009, ApJ,出版済み)。
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