研究概要 |
本研究では,従来利用されていなかった80℃以下の低温度レベル排熱により駆動可能な吸着式冷凍機の高性能化を目指して,吸着剤/冷媒の組合せに従来型のシリカゲル/水と比して駆動可能な温度レベルが低く,より吸着性能の高い活性炭素繊維/エタノールを用い,さらに吸着器伝熱管にフィン付円管を使用した場合の吸着冷凍サイクル実験および解析を行い,以下のような成果が得られた. まず,従来から行ってきた数値解析結果により得られた最適フィン付円管に近い伝熱管をテストセクションとしてACF/エタノール系吸着冷凍サイクル特性の測定から,(1)システム冷凍能力および冷凍成績係数(COP)は,吸着剤再生温度および蒸発器温度が高いほど増大する(2)予熱・予冷サイクルタイムの最適化により,冷凍能力およびCOPは約20%向上する(3)吸・脱着サイクルタイムが長いほどCOPは増加し,1サイクル当たりの時間平均冷凍能力は減少することを明らかにした. 次に,フィン付円管式吸着器モデルに水側の支配方程式を加えて発展させ,脱着行程も含めた吸着冷凍サイクルのモデリングを行い,吸着器(脱着器)の熱・物質移動を考慮した吸着冷凍サイクルの性能解析から,(1)解析結果が実験結果と定性的に一致することを確認するとともに,熱源温度およびサイクルタイム等のサイクル運転条件を変化させて解析を行った場合,吸着剤再生温度および蒸発器温度が高いほどCOPおよび平均冷凍能力が増大する(2)吸・脱着サイクルタイムが長いほどCOPが増大し,平均冷凍能力は減少する(3)フィン高さ15mm,フィンピッチ3.7mmの場合に冷凍能力は極大値を示すことを明らかにした.
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