研究課題/領域番号 |
08J00104
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
生態・環境
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
高橋 佑磨 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2010年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2009年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2008年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | 負の頻度依存選択 / 多型 / 地理的勾配 / アオモンイトトンボ / イトトンボ / 緯度勾配 / 性的対立 / 拮抗的共進化 / 生活史戦略 / 性的干渉 / 繁殖成功度 / 色彩2型 |
研究概要 |
種内の遺伝的多様性は分類群を問わずすべての生物で認められる現象であり、種の分化や存続に関わる重要な要因である。当該年度は、雌に遺伝的な2型の出現するアオモンイトトンボ用いて、種内の遺伝的多様性の維持機構、および遺伝的多様性の時空間的変化の機構を明らかにすることを目的とした。2型間で適応度を比較したところ、各集団において少数派の型の適応度が多数派の方よりも高いことを見出した。これは、少数派が有利になる「負の頻度依存選択」により多型が維持される可能性を示唆している。このような適応度の頻度依存性を考慮した数理モデルを構築したところ、野外において観察されたものと同様な型比の周期振動が認められた。このことは、負の頻度依存選択圧により、多型の比率が周期的に振動していることを意味している。型比の空間的変化を明らかにするため、型の比率を全国的に調べたところ、本種の雌の型比には明確な緯度勾配のあることが明らかになった。「各緯度において各型の潜在適応度のデータ」と「負の頻度依存選択の効果」を考慮した数理モデルを構築したところ、野外における型比の勾配を正確に予測することができた。大きな空間スケールで生じる型比の勾配は、多型を生じる種では普遍的に見られるにもかかわらず、いまだその機構の解明がなされていなかったが、本研究は、このような比率の勾配を実証した初めての研究となった。本種の多型は、遺伝的多様性の時空間的変異の成立機構に関するモデルケースになるにちがいない。
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