研究課題/領域番号 |
08J00195
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
日本史
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小原 嘉記 京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2010年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2009年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2008年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | 在庁官人 / 国衙 / 東大寺大勧進 / 造営料国 / 円照 / 任用国司 / 任符 / 在庁層 / 重源 / 勧進所 / 重源系荘園 / 周防国 / 行勇 |
研究概要 |
本年度は、(1)中世国衙の実務官人である在庁官人の形成過程に関する問題と、(2)鎌倉期の知行国制や国家財政の問題に連関してくる東大寺造営料国とその知行主体である東大寺大勧進に関する問題を研究し、それぞれ従来の通説的な理解を一新し、新たな議論を提示することができた。 (1)に関しては、在庁官人制の本質である官人的編成という側面に着目し、それを保障する制度的基盤の形成と付加税の成立を連関させて捉えることで、中世社会における地方支配のプロトタイプを見出した。また、そこにおいて特に重要な役割を果たしたのが受領であり、在庁官人制は受領支配のあり方と密着して成立・展開していったことを明確にした。以上の考察は、在地領主を中心に理解されてきた中世国衙・在庁官人制の通説を克服するもので、新たな議論の枠組みを提示した点で有意義なものといえる。 次に(2)に関しては、これまで不正確な理解のままであった13世紀の東大寺大勧進の系譜と性格など、基本的な点の誤認等を正した上で、造営料国の性質の変化の様相を、寺僧・別当の動向や人的関係などを加味しつつ、動態的に跡付けていった。そうした上で、14世紀に惣寺と大勧進が対立(あるいは癒着)する構図が新たに生成したことを展望することができた。この点は、国衙領の変化と密接に関わる論点である(周防国における「国衙一円進止之地」の成立状況を推測するよい手掛かりになると考える)。 以上、平安期~院政期における在庁官人制の成立と展開の様相を新鮮な観点からクリアーにするとともに、鎌倉期における寺社知行国の一側面から、当該期の国衙に関する理解をより一層深めることができたと考える。上記の成果はいずれも論文として発表した。
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