研究課題
特別研究員奨励費
2010年度は6月に京都市内にある私立小学校にて、小学生を対象とした分配ゲーム(独裁者ゲーム)を実施し、他者が見ている状況と他者が見ていない状況という2つの状況における分配行動を比較するという実験を行った。参加者は2年生から6年生までの児童約210名であり、自身とお友達の間で10枚のコインチョコレートをどのように分けるかという課題を行った。その結果、他者から見られている状況では、男女ともに学年が上がるにつれて友達への分配個数が増加するというパタンを見せた。特に、小学校低学年では、他者が見ている状況でも友達にお菓子を渡さない傾向が見られたが、小学校中学年以降では、友達にお菓子を渡す傾向が見られた。しかし、他者が見ていない状況では、女児は他者が見ている状況と同様のパタンを示したが、男児はいずれの学年においても友達に対してお菓子を渡さない傾向を示した。これらの結果は、他者が見ている状況では、小学校中学年以降になると他者の目を意識するようになるために、友達に対して利他的になること、そして、少なくとも男児においては他者が見ていない状況では、友達に対して利他的にはならないことが明らかになった。この結果を踏まえて、現在、何故、利他行動における他者の監視の効果に性差が見られたのかを調べる実験、そして、利他行動における他者の監視の効果を支える認知発達的な基盤(例えば心の理論の発達)を調べる追加実験を計画している。
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