研究概要 |
本年度は、前年度の結果から得られたアッセイ結果より、予測に有効である情報(パラメータ)を抽出し、それらを新たなファーマコフォアとして定義し、本手法の精密化を行った。また、ケモカイン受容体の予測の他に、別のGPCRであるGPR54における予測も行った。この研究においては、今までアゴニストしかほとんど報告がなかったターゲットに対する、アンタゴニスト候補化合物の創出に成功した。 また、上記の研究に並行して、タンパク質-化合物の相互作用情報を用いて、薬物動態における重要なタンパクである、CYPファミリーをターゲットとした、化合物の阻害予測モデルを構築した。データベースより得られたCYPと化合物の相互作用情報を用いて、正準相関分析(Canonical Correlation Analysis : CCA)を行った。モデルの評価には5-fold cross validationを用い、学習セットにおける正答率は90%以上であった。このモデルに対して、外部セットの化合物の予測を行った。用いた化合物はLOPACの化合物ライブラリー1280化合物で、検証のために4種類のCYP(CYP1A2,CYP2C9,CYP2C19,CYP2D6)に対する阻害実験を行い、1280化合物の各CYPに対する阻害情報を得た。得られた実験結果を元に、CCAモデルでの予測を行ったが優位に予測できるものと予測ができないCYPがあるという知見を得た。
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