研究課題/領域番号 |
08J01911
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
細胞生物学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
平本 菜央 (山木 菜央) 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2010年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2009年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2008年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | シグナル伝達 / 細胞運動 / がん / 細胞生物学 / 細胞生物 |
研究概要 |
がん細胞の浸潤・転移は、がんの治療を困難にしている最大の要因である。このがん細胞の浸潤・転移に深く関与する細胞運動の仕組みや関連分子を解明することで、創薬研究の大きな発展に寄与することが考えられる。がん細胞の浸潤や転移には、RhoファミリーG蛋白質の関与がこれまでに数多く報告されている。 本研究では、RhoファミリーG蛋白質のひとつであるRhoGの新規活性化因子且つEphA2の新規結合蛋白質として、Ephexin4を同定した。さらに、EphA2を過剰発現している乳がん細胞において、リガンド非依存的な細胞運動および浸潤能の促進には、Ephexin4を介していることを見出した。また、BGF刺激によるRhoGの活性化にはEphA2とEphexin4が関与しており、EphA2-Ephexin4を介して活性化されたRhoGは、その標的蛋白質であるELMO2と結合した。ELMO2はその結合蛋白質であるDock4と共に、活性型RhoGによって細胞質から細胞膜へと移行して、EphA2と複合体を形成し、Dock4によるRac1の活性化を促進させることを明らかにした。さらに、EphA2とDock4は移動中の乳がん細胞における突起先端で、がん細胞において運動能や浸潤能の制御に重要であると知られているcortactinと共局在していることを見出した。 従ってこれらの結果を総合すると、Ephexin4を介したRhoGの活性化によって、EphA2がELMO2およびDock4と複合体を形成することで、Dock4による局所的なRaclの活性を誘発していると考えられる。この複合体により、cortactinの豊富に存在する細胞突起が形成され、細胞極性や運動の促進が誘導されると示唆される。さらにこれらの結果は、EphA2がEGFの下流で足場として機能して、シグナル伝達による複合体の形成を促進させることにより、乳がん細胞における細胞運動および浸潤能を増強させていることを示している。
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