研究課題/領域番号 |
08J02338
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
哲学・倫理学
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
古田 徹也 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 特別研究員PD
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研究期間 (年度) |
2008 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2010年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2009年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2008年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | ウィトゲンシュタイン / デイヴィドソン / バーナード・ウィリアムズ / 言語的コミュニケーション / 私的言語批判 / 真理論 / 大森荘蔵 / 心の哲学 / 概念主義 / 自然主義 / 言語哲学 / 規範性 / 言語の習得 / 論理 / 言語ゲーム / 倫理的思考 |
研究概要 |
3年目の最終年度である本年度は、これまで2年間蓄積してきた研究成果をまとめ、「言語的コミュニケーション」という論点を軸にしたウィトゲンシュタインの哲学の総合的な研究を仕上げて、博士論文としてかたちにすることを目指した。博士論文は2011年2月に審査に合格し、学位が授与された。 博士論文の中ではとりわけ、後期ウィトゲンシュタインの議論の核心の一つを成すいわゆる「私的言語批判」の議論の検討や、「私的言語批判」の解釈を通じて展開されるデイヴィドソンの言語論の検討を行った。そして、彼らの「コミュニケーション一元論」とも呼ぶべき議論が、伝統的な物心二元論を退けつつ人間的自然を構成する最も基本的な条件を取り出すことに成功しているということを明らかにした。 また、本論文の中では、デイヴィドソンの議論からはこぼれ落ちる人間的自然の重要な側面、すなわち、「特定の文化の中で生きる」という人間の有り様を探究するために、「正直」と「正確」という、真理概念と最も深く関連する徳をめぐるウィトゲンシュタインの議論も主題的に扱った。その中で、我々が切実に必要とする言語的コミュニケーションは、実用性や効率性といったものによっては捉えられない特徴を持つこと-それが本質的にたどたどしく、気まぐれな営みであること-を確認した。 そして最後に、「哲学が抽象的な議論以上のものを含むならば、文化的な偶然性ないし歴史性へと向かわなければならない」というB・ウィリアムズの論点を踏まえ、人間的自然の探究は個別の文化の実相にさらに分け入って続ける必要があることを確認した。
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