研究課題
特別研究員奨励費
サンゴ礁劣化速度も世界で最も速いCoral triangleを中心とする複数海域において、海洋保護区設定の基盤となるreef-connectivityを明らかにするべく、サンゴ礁における代表的な無脊椎動物(ヒトデ・サンゴ・ナマコ)に関して集団遺伝構造及び系統地理を明らかにした。造礁サンゴの捕食者であるオニヒトデに関してマイクロサテライトを用いた解析を行ったところ、インドネシアのジャカルタ北ではインド洋・太平洋側の遺伝子が同所的に存在しているが、それより東側の海域ではインド洋側の遺伝子の流入は見られなかった。またスラウェシ島北部周辺海域は遺伝子流動が強く、2次的大量発生に留意する必要があることが分かった。アオサンゴに関しては、高水温低流速のサンゴ礁内に発達する葉状のものと比較的低水温高流速のサンゴ礁外部に発達する棒状のアオサンゴの間では遺伝子流動がほとんどなく、種分化過程にあり、それぞれのアオサンゴを別々に保全する必要があることが分かった。コブヒトデとマンジュウヒトデに関してミトコンドリアのCO1領域を用いて系統地理解析及び集団解析を行ったところ、両方の種ともにCoral triangleから日本の南西諸島、パラオにかけて非常に強い遺伝子流動が検出された。マンジュウヒトデは、オニヒトデと同様にジャカルタ北部においてインド洋側及び太平洋側の遺伝子の両方が検出されたが、それより東側では、インド洋側の遺伝子型はスラウェシ島の南で1個体みつかったのみであり、ジャワ海において西から東に向かう遺伝子流動が極めて限られていることが分かった。一方コブヒトデでは、広域的には非常に遺伝的に均一性が高いにもかかわらず、局所的に数10キロしか離れていない地点で遺伝的に極端に異なる海域(西パプアのセンダラワシ湾・フロレス海域など)が見られ、これらの海域は他の海域と遺伝子流動が限られているため、別途保全していく必要がある。ナマコ種のミトコンドリア解析の結果、ニセクロナマコなど広域分散種4種で黒潮海域における強い遺伝子流動が検出され、上流域の保全の重要性が明らかとなった。
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