研究概要 |
平成22年度は平成21年度に続き,ネットワーク上のオークションについての研究をおこなった。これまでのオークションの研究では、主に、手が一人だけというモデルを分析していた.しかし,本研究ではそのモデルの拡張を行い,インターネットオークションに代表される,ネットワーク上に存在する多数の売り手と買い手が参加するオークション市場の分析を行った。ネットワークを所与としたときには、オークションは効率的に財を配分できることが分かっていたが,本年度はさらに,オークション遂行される効率的な配分がコア安定性を満たすかどうかを調べた.そして,コア安定性を満たすことを示し,その中でも特に,買い手最適コアト呼ばれる利得配好かオークションにより達到成されることを示した. さらに,Two-sided Marketにおける企業間の取引ネットワークがどのように形成されるのかについての理論研究の拡張を行った。この研究は、既存の理論が仮定していた、すべての企業がすべての企業と取引可能であるといろ完全な市場という強い仮定を外し、企業同士が取引関係を結ぶための費用を導入し、各企業間で形成される取引ネットワークはどのような性質をもつのかについてモデル分析を行ったものである。平成21年度までに、2社の製造企業,2社の供給企業がいる2部市場で,取引関係構築費用が事前に互いに譲渡不可能な場合でも譲渡可能な場合でもホールドアップ問題により,非効率性が発生することを示したが、平成22年度はその拡張として,n社の製造企業,n社の供給企業がいる2部市場について同様の理論分析を行った.その結果同様に、費用の譲渡可能性にかかわらず,同様の理由で,効率的な取引ネットワークが形成さないことを示した.よって本研究の理論の頑健性を示すことができた.
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