日本の児童虐待防止活動において、行政とNPOが円滑に協働していけるためのパートナーシップ政策のあり方について明らかにすることを目的とし、研究を進めていった。今年度は、明治時代から現在までの日本の政策について、2つの視点から調査していった。一つ目は、公私関係に関する政策の視点から調査を行った。まず明治時代からの公私の役割や関係がどのように変化していったのか、追っていった。そして、戦後しっかりと根付いた措置委託制度の創設の成り立ち、背景にある政治的意図や政策価値観も明らかにした。二つ目は、児童虐待防止に関する政策の視点から調査を行った。公私関係の中でも公的責任が強く問われ、私の活動が大幅に制限されてしまう児童虐待の領域で、明治時代からどの機関がどんな活動を行ってきたのか、諸所の法政策の背景を詳細におっていった。さいごに、私が介入しにくい領域で、どのような公私関係が築かれてきたか、英国の政策を調査した。英国では、ブレア、ブラウンと続く労働党下で、公私対等を目指すパートナーシップ政策が履行されてきた。児童虐待領域においても例外ではなく、対等な公私関係性を求めて、児童福祉全般のシステム改革を含めて行われたことがわかった。
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