研究課題/領域番号 |
08J02718
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
実験心理学
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研究機関 | 総合研究大学院大学 |
研究代表者 |
林 正道 総合研究大学院大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2010年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2009年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2008年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
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キーワード | 時間認知 / 数量認知 / 相互作用 / 機能的MRI / 経頭蓋磁気刺激法 / 時間知覚 / 異種感覚統合 / 数量処理 / 生理心理学 / 機能的磁気共鳴画像装置 / 知覚的意志決定 / 人間工学 |
研究概要 |
本年度は「時間の長さ」と「数量の大きさ」という一見全く異なる感覚であるこれらの情報が、脳内では二つの認知処理段階で共通の神経基盤を用いて処理されているということを明らかにした。 時間の長短弁別課題を行わせる時、例えば一つ目の刺激に対して二つ目の刺激の方が長く呈示された場合に二つ目の刺激の方が一つ目に比べて少ない数のドットが示されると「二つ目の刺激の方が短かった」と(数の情報に引っ張られて)誤って判断してしまうことが示されている(時間と数量の相互作用)。 そこでまず、どの処理レベルでこの相互作用が起きているのかを機能的MRIを用いて調べた。その結果、相互作用は物体のカテゴリーや概念を扱う下前頭回で起こっていることがわかった。これは、時間が「More」「Less」という、抽象度の高い概念の表象を用いて弁別されており、弁別とは無関係な数量の情報がこれらの概念表象を無意識的に活性化してしまうために相互作用が起こっている可能性を示唆した。実験2では再生課題を用いた時にも、ドットの数の大きさが大きければ大きいほど再生時間が長くなる(刺激呈示時間をより長く推定してしまう)事を明らかにした。この結果は、意志決定レベルだけでなく符号化レベルでも相互作用が存在している可能性を示唆した。実験3では下頭頂葉が符号化レベルでの相互作用の原因であるかを明らかにするため、脳活動を局所的に干渉することができるTMSを用いて実験を行った。その結果、時間と数量の相互作用の変調が右下頭頂葉を刺激した後にのみ起こった。この結果は、時間と数量が符号化レベルで共通に処理されているのは右下頭頂葉であることを示唆した。 これら一連の実験結果から、時間と数量の処理は右下前頭回および右下頭頂葉で共通に行われており、時間と数量の相互作用は右下前頭回における意志決定レベルのものと、右下頭頂葉における符号化レベルのものの二種類が存在する事が明らかになった。
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