研究課題/領域番号 |
08J02967
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
各国文学・文学論
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
池田 智恵 早稲田大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2009年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2008年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
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キーワード | 中国近代通俗小説 / 黒幕 / 探偵小説 / 三面記事 / 新聞報 / 快活林 / 中国 / 近代 |
研究概要 |
先年の研究により、翻訳を介して清末に中国へと流入した探偵小説が、中国人の手により創作きれるようになっていくのは、1917年前後であることが明らかになった。より詳しく中国において、いかに探偵小説が創作されるようになったのか、作者がいかなるものを「想像」して探偵小説を「創造」しようとしたかを明らかにすることにより、中国が外来のものをいかに「中国化」するかを解明することができ、これにより中国の近代化の一端を明らかにする意義があると思われる。当初、その解明の方法として1910年代末におけるエドガー・アラン・ポーやシャーロック・ホームズの受容を考える予定であったが、5月9日には台湾淡江大学にて、6月12日には上海において、1917年当時の中国における創作探偵小説の状況について発表し、研究者と討論を行ったところ、1910年代末に近代中国に流行した「黒幕」の存在が浮かび上がってきた。「黒幕」とは、1916年に『時事新報』の読者投稿として成り立ったコーナーであり、犯罪や犯罪に類するものを「暴露」するものであった。これは大ブームとなりその後「黒幕小説」というジャンルを生んでいく。この犯罪を題材とするという点で探偵小説と共通する「黒幕」が、探偵小説といかなる関係があるかを明らかにすることは、探偵小説の発生を考える上で大変大きな意味があると考え、夏季に上海にて『時事新報』の「黒幕」の全掲載状況を調査した。その結果、中国近代の1910年代末において、自国の犯罪を読み物とする「黒幕」が流行りながらも、探偵小説は「外国もの」を描くことを好んでいたことが明らかはなってきた。つまり、探偵小説はあくまでも「舶来」として創作されるのであって、それがなかなか本土化していかないという中国探偵小説の大きな特徴が明らかになった。これに基づき、10月に日本中国学会、2月に関西大学で学術発表を行った。
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