研究課題/領域番号 |
08J03684
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
神経科学一般
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
早野 泰史 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2009年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2008年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | 神経回路形成 / 神経活動 / 軸索枝分かれ形成 / Netrin / 視床皮質投射 / 軸索分枝 / 遺伝子発現 / 大脳 / 視床軸索 |
研究概要 |
発生期に神経細胞は軸索末端で枝分かれを形成し、これにより結合のパターンや強度を変化させる。我々は視床-大脳皮質投射軸索の枝分かれ形成に着目し、分子メカニズムの解明を目指している。これまでの研究から視床皮質軸索は標的層(4層)特異的かつ神経活動依存的に枝分かれを形成することが明らかにされているが、その両方の特異性を制御するような分子は同定されていなかった。本研究では、標的層特異的、神経活動依存的にその発現量を変化させる遺伝子としてNetrin-4を同定した。大脳皮質内でのNetrin-4の遺伝子発現の発達による変化を調べたところ、netrin-4は大脳皮質4層を含む視床皮質投射の標的層で特異的に発現し、神経活動が活発になる生後2週目からその発現量が増加することが分かった。またスライス共培養法を用いてin vitroで再現した視床皮質投射内での軸索動態から、Netrin-4タンパク質に軸索枝分かれ形成を促進させる働きがあることがわかった。さらにnetrin-4ノックアウト動物の視床皮質投射を解析したところ、特異的マーカータンパク質5HTTの視床軸索末端での発現量が減少しており、軸索突起形成が減少している可能性が示唆された。(これらの研究結果については2009年神経科学大会においてポスター発表を行いました。)以上の結果から、神経活動がNetrin-4の遺伝子発現を介して視床軸索の層特異的な枝分かれ形成を制御することが示唆された。本研究で得られた実験成果は、可塑的な神経回路形成メカニズムに関して最も研究の進んだ実験系の一つである視床皮質投射系において、初めて神経活動依存的に軸索突起形成を制御する具体的な分子を明らかにすることが出来たという点で画期的な研究結果であると考えられる。ファミリータンパク質のNetrin-1は発生初期で軸索誘導因子として働くことが知られているが、今回同定したNetrin-4は発達後期において神経活動と連携して可塑的な神経回路形成にも関与していることを示せたという点でも非常に興味深い研究であると言える。
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