研究課題/領域番号 |
08J04352
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
生態・環境
|
研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
東樹 宏和 独立行政法人産業技術総合研究所, ゲノムファクトリー研究部門, 特別研究員(SPD)
|
研究期間 (年度) |
2008 – 2009
|
研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
|
配分額 *注記 |
6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
2009年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2008年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
|
キーワード | 共進化 / 共生 / 適応 / 軍拡競走 |
研究概要 |
クリシギゾウムシは、ブナ科植物の種子(ドングリ類)に産卵を行う。しかし、ブナ科の植物の多くは、ゾウムシに食害されないために、タンニンという毒物質を高濃度で種子に蓄積するよう進化している。しかし、昆虫は一般に、タンニンを分解する酵素を生成できないと考えられており、なぜクリシギゾウムシがブナ科種子を食害できるのか、明らかになっていない。 そこで、クリシギゾウムシ体内に共生する細菌類に着目して、この細菌類がドングリの毒を無害化する上で「助っ人」として働いているのか、検証を行った。タンニン分解酵素(タンナーゼ)の生成は、様々な細菌類で報告されおり、この細菌の潜在的な機能に焦点をあてた。 ゾウムシ体内からクローニングした細菌の16S rRNA遺伝子の塩基配列を調べたところ、新奇な共生細菌がクリシギゾウムシと共生していることが明らかになった。この細菌(以下、一次共生細菌)の16S rRNA配列をターゲットとした蛍光in situハイブリダイゼーションの結果、この一次共生細菌がゾウムシ幼虫体内の中腸前部に付着する「菌細胞塊」に詰め込まれていることがわかった。さらに、雌成虫の体内では、卵巣小管への感染が認められ、卵への感染を通じて、ゾウムシの世代を越えてこの一次共生細菌が受け継がれていることが推測された。この一次共生細菌の塩基配列の組成から、ゾウムシとの長い共生関係を経てゾウムシの体内でしか生存できないような進化を遂げていることが示唆され、すでにゾウムシの「体の一部」としてゾウムシの生存や繁殖に有利な機能を提供していることが推測された。
|