研究課題/領域番号 |
08J04371
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
奥住 聡 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2009年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2008年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | ブラックホール / 重力波 / 流体 / ボース・アインシュタイン凝縮体 |
研究概要 |
ブラックホールとは、一般相対性理論からその存在が予言される天体である。近年になって、ブラックホールの関与するいくつかの新しい波動現象が予言された。これらの予言を実証することは、一般相対性理論のより精密な検証に繋がるものであるが、これらを天文観測から直接実証することは現在では困難である。本研究の目的は、(1)これらの現象を詳細に解析するための理論的に整備すること、(2)地上実験が可能なブラックホール擬似モデルである「音のブラックホール」を利用し、これらの現象の存否を実証すること、の2点である。本年度の研究成果は以下の2点に要約される。 1.ブラックホールは「準固有振動」と呼ばれる重力波を放出することが知られる。ごく最近、一般相対性理論の非線形効果が周波数の異なる準固有振動を生み出すことが予想された(Ioka & Nakano 2007)。しかし、この先行研究で用いられた解析手法の妥当性は大いに疑問が残されていた。本研究では、非線形な重力波に対しても妥当性が保証される新たな解析手法を独自に開発し、先行研究で予言されていた非線形由来の準固有振動が実際に存在することを証明した。さらに副産物として、準固有振動とは別種の未知なる重力波モードを発見した。この現象は近い将来観測されるであろう重力波形に大きな影響を与えると予想される。本研究業績は国際論文誌「Journal of Physics」において発表した。 2.ブラックホールは「ホーキング輻射」と呼ばれる熱輻射を放出することが予言されている。近年、高エネルギー領域での量子論的効果がこの輻射のスペクトルを変形させる可能性が指摘された(Barcelo et al.2009)。本研究では、ホーキング輻射のスペクトルを実験的に特定するための手段として、量子論的効果が現れる流体である「ボース・アインシュタイン凝縮体」に注目し、これを用いた音響ブラックホールを現在の技術で実現するための方策を提案した。本研究業績は国内論文誌「ながれ」において発表した。
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