研究課題/領域番号 |
08J04947
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
水産学一般
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
永田 恵里奈 近畿大学, 農学部, 特別研究員PD
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研究期間 (年度) |
2008 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2009年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2008年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 魚病細菌 / 冷水病 / Flavobacterium psychrophilum / 宿主特異性 / 病原性 |
研究概要 |
冷水病原因菌Flavobacterium psychrophilumは、世界中のサケ科魚類の養殖において甚大な被害を及ぼしている魚病細菌である。本年度は、宿主特異性因子の解明を目指し、日本全国で分離された冷水病菌114株についてMultilocus sequence typing解析を行い、その系統を調べた。本研究を行うにあたり、フランス国立農業研究機構のEric Duchaud博士の研究室に計6ヶ月間滞在した。日本で分離された冷水病菌は、欧米でニジマスやギンザケから分離された冷水病菌と異なるシークエンスタイプ(ST)に属しており、その数も多く、多様性に富んでいることがわかった。冷水病菌は、ニジマス、ギンザケ、コイ(IとII)そしてアユ(I~III)のグループに分けられた。それぞれのグループは独自のクラスターを形成していたが、コイとアユのグループの一部は同系統の集団に属することが示された。さらに、この集団は、ドイツのコイから分離された冷水病菌と同系統の集団に属していた。滋賀県のモデル河川で採取したアユから分離された冷水病菌集団を解析した場合、あるSTの冷水病菌が優占していたが、別のSTの冷水病菌と共存している例も見られた。本年度の研究から、冷水病菌はアユ型、ニジマス型、ギンザケ型、コイ型に大別できること、日本で被害が深刻なアユ型冷水病菌はニジマス型やギンザケ型冷水病菌と遺伝的な関連性はなくユニークな集団であること、そしてアユ型冷水病菌の中で複数の遺伝子型の冷水病菌がアユに共感染していることが明らかとなった。これらの結果は、冷水病菌の伝播経路の解明につながるだけでなく、宿主特異性決定因子の解明やワクチン株の選定のために重要な情報となるだろう。
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