研究課題/領域番号 |
08J05285
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
神経化学・神経薬理学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
増田 隆博 九州大学, 大学院・薬学研究院, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2010年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2009年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2008年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | 神経障害性疼痛 / ミクログリア / インターフェロン / 転写因子 / 神経因性疼痛 / インターフェロンγ |
研究概要 |
神経損傷後、脊髄後角ミクログリアで転写因子IRF8が発現増加することが明らかになったころから、レンチウィルスベクターを用いて、IRF8分子を初代培養ミクログリア細胞に強制発現させ、IRF8の役割の解明を試みた。その結果、IRF8の発現増加に伴い、ミクログリアの活動性に重要な役割を持つP2Y12受容体やP2X4受容体、免疫応答に関わるToll-like受容体、神経活動に影響を及ぼし得る炎症性サイトカインのIl-1βなどの因子が発現誘導された。次にIRF8を遺伝子導入したミクログリア細胞を正常マウスの脊髄腔内に投与した結果、痛み行動が誘発された。一方で、DNA結合能力を消失した変異型IRF8用いた場合には、遺伝子発現増加および痛み行動は誘発されなかった。以上の結果から、IRF8はDNAへの結合依存的にミクログリア細胞を過活動状態へと移行させるのに重要な役割を持つと考えられる。そこで実際の神経障害性疼痛モデルマウスを用いて、IRF8の役割について検討を行った。末梢神経損傷後、野生型マウスの損傷側脊髄内において、IRF8の発現増加と伴って、P2Y12受容体やIL-1βなどの様々なミクログリア疼痛関連因子の発現増加が観察された。一方で、IRF8欠損マウスの脊髄内においては、これら因子の発現増加が顕著に抑制された。以上の結果から、末梢神経損傷後、損傷側脊髄ミクログリアで発現増加したIRF8は、様々な因子の発現増加を伴った過活動状態への移行において、極めて重要な役割を果たしていると考えられる。 本研究は、IRF8の中枢神経系における役割および神経障害性疼痛発症における役割を初めて明らかにしたのみならず、様々な中枢性疾患発症に寄与していることが明らかになっているミクログリア細胞の過活動状態への移行に重要な役割を果たしている転写因子としてIRF8を特定したという点で非常に重要な研究であり、神経因性疼痛の全容解明に向け、大きく前進すると共に、様々な中枢性疾患をターゲットにした研究への応用が期待される。
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