研究概要 |
(1)レポータージーン解析やゲルシフト解析の結果より、造血細胞の分化・成熟に重要である転写因子AML1が転写促進エレメント(BLT1-intron-1/exon-2領域)を介してBLT1の発現調節に転写レベルで関わっている可能性が示唆された。そこでAML1の寄与を確認するため、siRNAを用いてHL-60細胞における内在性AML1の発現を減少させた所、AML1の発現量に依存したBLT1のmRNAの発現量の低下が観察された。 (2)他の細胞においても、AML1がBLT1発現に寄与しているかを調べるためChIP解析を行った。結果、BLT1が発現している細胞(HL60-C15,THP-1)では転写促進エレメント付近のヒストンのアセチル化とAML1の結合が検出された。一方、BLT1が発現していない細胞(Jurkat,HEK293)ではこのような現象が観察されなかった。さらに、ヒト末梢白血球においてもこの現象がみられたことから、生体内においてもAML1がBLT1の発現を調節している可能性が示唆された。 (3)生体内におけるAML1のBLT1転写調節機能を調べるため、AML1のコンディショナルノックアウトマウスに対しカゼインで誘導した腹腔好中球を回収しmRNA量を測定した。残念ながら、回収した好中球においてAML1の発現がmRNAレベルで完全に欠損しておらず残存していたため、野生型と比較したBLT1の発現変化を測定する事が出来なかった。 以上の成果は1報の論文(The FASEB J.,24,3500,2010)と3つの学会にて報告した。
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