研究課題/領域番号 |
08J06726
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
無機材料・物性
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
赤松 寛文 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2009年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2008年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | アモルファス / 磁気的性質 / スピングラス / 強磁性 / 希土類金属 |
研究概要 |
研究課題「アモルファス酸化物強磁性体の創製」を目指し、研究を遂行した。申請者はこれまでに、Eu^<2+>イオンを含む非晶質酸化物は、そのガラス系・組成に関わらず、正のワイス温度を示すことを明らかにしてきた。このことは、Eu^<2+>イオンの磁気モーメント間には強磁性的相互作用が支配的に働いていることを示唆している。しかし、Eu^<2+>イオンを含む非晶質酸化物が低温において、どのような磁気秩序を示すのかということについては明らかにされていない。ランダム系特有の興味深い磁気秩序相が現れることが期待される。そこで、高濃度のEu2+イオンを含む酸化物ガラスを溶融急冷法により作製し、その低温における磁気特性を超伝導量子干渉計(SQUID)により詳細に調べた。 60.0EuO・11.0Al_2O_3・19.5B_2O_3・9.5SiO_2(mol%)の組成をもつガラスの磁化の温度依存性は、3K以下で急峻な立ち上がりを示した。これは常磁性相から強磁性相への転移を示唆している。また、2.2K以下において磁化はプラトー様の挙動を示し、零磁場冷却過程および磁場冷却過程で測定した磁化に差が現れた。これは、強磁性相からスピングラス相への転移、すなわちリエントラントスピングラス転移を示唆している。スピングラス特有のメモリー効果を示すことを確認しており、このガラスがリエントラントスピングラスであることが強く示唆された。 絶縁体酸化物における磁気的相互作用の強さおよび符号は、磁性イオン間の局所的な構造に大きく依存するため、非晶質酸化物では磁気的相互作用の強さと符合は広い分布をもつ。Eu^<2+>系非晶質酸化物では、正のワイス温度から強磁性的相互作用が支配的に働いていることが明らかであるが、反強磁性的相互作用が働くような局所構造も存在すると考えられる。低温では、そうした磁気的相互作用の競合が顕著になる結果として、リエントラントスピングラス転移が観察されることが、本研究から明らかにされた。
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