研究課題/領域番号 |
08J07931
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
小児科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
加藤 元博 東京大学, 医学部附属病院, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2009年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2008年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | 網羅的ゲノム解析 / がん抑制遺伝子 / ヘテロ接合性の消失 / 小児がん / ゲノム解析 / エピゲノム解析 |
研究概要 |
がんの発症の基盤となるゲノム異常を明らかにするために、高密度ゲノムアレイを中心としたゲノム解析手法で、網羅的にゲノム異常を解析し、がんに生じているゲノム異常を詳細に明らかにし、標的遺伝子の探索を行った。解析の結果、横紋筋肉腫筋肉腫35例中1例にALK遺伝子の増幅があり、Ewing肉腫においてもALK遺伝子の変異が49例中2例において生じていることが明らかになった。神経芽腫で昨年度に報告したALK遺伝子の異常は横紋筋肉腫筋肉腫やEwing肉腫においてもその病態に関与していることが示され、これらの難治性疾患の予後を改善させる標的分子としても期待される。 さらに、急性白血病などの造血器腫瘍496例、神経芽腫などの固形腫瘍135例について網羅的なヘテロ接合性の消失(LOH)についてその分布を詳細に検討したところ、腫瘍間で共通したLOHの集積領域がある一方で、腫瘍において特異的なLOHの集積領域があり、さらに、腫瘍内でもこのLOHの分布はクラスターを形成することが示された。それぞれのLOH領域にはがん関連遺伝子が存在しており、LOHの分布を詳細に検討することで、さらに新たながん関連遺伝子の同定に至る可能性が示された。 また、悪性リンパ腫238例に対してのゲノム解析の結果から、A20遺伝子がその10%に欠失または変異を起こしていることを同定した。A20遺伝子を欠いた細胞株にA20を誘導的に発現させることにより、細胞の増殖は抑制され、免疫不全マウスにおける腫瘍造成能も抑制された。これらのことから、A20が悪性リンパ腫においてがん抑制遺伝子として発症・病態に関与していることが明らかになった。A20は炎症反応や免疫反応において中心的な役割を果たす分子であることから、本研究で明らかになったA20の異常は、慢性的な炎症とリンパ腫発症とを結びつける分子機序のひとつであると推定された。
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