研究概要 |
今年度は,7月末から3月末にかけてフランス共和国リヨン市のLaboratoire de Mecanique des Fluides et d'Acoustiqueにおいて,境界層に関する研究を数値解析によって進めた.流入条件として,Lundの方法を導入した.さらに,Lundの方法が抱えているとされる数点の改善の余地を,改善する事を試み,これを実現した.さらに,ポアソン方程式に関して,境界での値を0にしさらに主流方向の一階微分が0のベクトルを導入することでボアソン方程式を2つにわけ,sin変換を用いることでポアソン方程式の直接求解を実現した.これにより,連続式の精度をマシンゼロオーダーに保つことができ,かつ効率化された.以上の数値解析は,フランス共和国国立科学研究所CNRSの計算機センターIDRISにおいて行われた.実験計測に関しては,昨年度導入した自動計測システムを用いて,境界層外乱れ(格子乱流)の影響を受けた乱流境界層の計測を行った.ここで,自動計測システムの特長を生かし,壁に垂直な方向だけでなく,主流方向にもトラバースをさせることで,境界層外乱れの影響を受けた乱流境界層の空間発展を調べることに成功した.さらに,境界層外乱れの有無によりレイノルズ数を合わせた計測を行った.また,前年度まで進めてきた大気拡散風洞(国立環境研究所)での実験計測が完了した.現在はデータ解析および考察を進めている.この風洞において計測した結果は,世界的に見ても非常に貴重であり,有用な知見を提供できる事が期待される.これらの結果は,まとめ次第,一流雑誌への投稿を進める予定である.PIV/PLIFに関しては,今年度に導入した,高感度の高速度カメラにより,より高精度の計測が実現した.具体的には,レーザー流速計以上のダイナミックレンジでの計測を行うことを可能にした.
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