研究課題
特別研究員奨励費
本研究は、顔情報が信頼関係の構築にどのように寄与するかについて検討することを目的としている。21年度は、主に下記の研究を行った。これまでの研究から、笑顔が真顔に比べて信頼を得ることが指摘されてきた(Scarleman et al., 2001)。本研究では、この笑顔の効果の文化差に着目した。実際に、Yuki et al.(2007)は、幸福の情動判断において、日本人は目が笑っているかどうかに注目しやすい一方、アメリカ人は、口が笑っているか否かに注目が行きやすいことを示している。同様の効果は、信頼性判断においても見られるかもしれないと、考えた。そこで、本実験では、顔の上半分(目周り)の笑顔強度、下半分(口周り)の笑顔強度、及び笑顔の左右対称性という、笑顔の3つの要素が信頼性判断に及ぼす影響の目米差を検討した。実験では、アメリカ人と日本人の参加者が、複数の日米の顔写真(これらの顔写真については、事前に上下の笑顔強度及び左右対称性が評定されていた)について、信頼性の判断を行った。重回帰分析の結果、顕著な文化差が認められた。日本人参加者は、左右対称的であるほどより信頼する一方、上下の笑顔強度は信頼性判断に影響しなかった。対照的に、アメリカ人参加者は、上下の笑顔強度が強いほどより信頼するが、左右対称性は影響しないという結果が得られた。この違いについては、日米の表示規則の違いや認知様式の文化差の観点から考察された。なお、この研究については、Letters on Evolutionary Behavioral Scienceにて、査読後受理され、現在印刷中である。
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Letters on Evolutionary Behavioral Science
Journal of Personality and Social Psychology
http://www.educ.kyoto-u.ac.jp/cogpsy/member/oozono.htm