研究課題/領域番号 |
08J08243
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
地域研究
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中村 沙絵 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2010年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2009年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2008年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
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キーワード | スリランカ / シンハラ社会 / 上座仏教社会 / 慈善型老人ホーム / 老い / 看取り / 宗教実践 / 南方上座仏教 / 民族誌 / 介護 / 高齢者福祉 / 死生観 / 世代間関係 / 都市・農村比較 / 南方上座部仏教 / 老人ホーム |
研究概要 |
本研究の課題の1つは、スリランカにおける老人ホームを閉鎖空間としてではなく、老いと介護をめぐる積徳行為によって歴史的に構築されてきた「開放空間」として捉え、施設外との関係を捨象していた従来の施設研究に新たな視点を導入することであった。これを念頭に論文「現代スリランカにおける慈善型老人ホームの成立」では、地域社会の人びとの直接的な寄附によって支えられる慈善型老人ホームの歴史的系譜を明らかにした。また、この開放性が促す施設内外の交流が入居者の生活を経済的に支えるだけでなく、精神的にも豊かにしうるのはどのようにしてか、研究会発表や論文(投稿中)に整理した。 2つめの課題は、こうした施設において老い死に向き合うこと、介抱し看取ることが、どのように来世や転生といった概念と関係しているかを明らかにすることであった。入居者たちは施設への入所を余儀なくされた自らの運命を苦悩として受け止めながらも、朽ちゆく身体をみつめ来世にそなえて善行を積むことを理想とし、自主的に食事療法を行ったり、動植物や入居者、スタッフや寄附者をケアしたり、信仰実践や趣味に取り組むなどして心身の養生に励んでいた。また、寝たきりの入居者に対する施設スタッフの仕事は食事を通した介抱をしながら他界までを見守ることであり、西洋社会の施設研究でしばしば言及されてきた死の受容/隠蔽や延命をめぐる葛藤は問題ではなかった。但し、寝たきり老人や、死を迎えた者と看取る者が関わり合う臨終の場では、家や地域ではあたりまえに用意されていた社会関係やモノの得難さに起因する困難さや違和感が認識されていた。23年度は博士論文執筆を通して、こうした寝たきりや看取りの経験などを含む老人ホームの生活誌を詳述し、輪廻転生の世界の、老人ホームという現代的な状況における、老いる者と介護する者の社会文化的関係について理解を深めていく。
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