研究概要 |
当研究室で発見した新規のCa^<2+>結合タンパク質、CCaP1,CCaP2の生理機能の解明を目的に研究を行った。CCaP1とCCaP2は24時間以上暗条件におくと日中レベルの10倍程度まで緩やかに発現上昇し、長期の暗条件の後、光を照射すると4時間程度で日中レベルまで急速に低下することを発見した。さらに、CCaP1は光合成機能の低下に、CCaP2は老化に関連してその転写レベルを増加させることが示唆された。また、CCaP2は地上部からの情報によって、その転写が制御されていることが示唆された。 以上の研究に加えて、CCaP類縁遺伝子であるPCaP1の解析を行った。PCaP1遺伝子破壊株を用いてマイクロアレイ解析を行ったところ、PCaP1はジャスモン酸の生合成を抑制する、あるいはJAシグナルの伝達を停止させることで、シグナリングを負に制御している可能性が考えられた。また、接触応答に関わる遺伝子であるTouch-induced(TCH)遺伝子の発現上昇がみられた。TCH遺伝子はPCaP1との相互作用が示唆されるカルモジュリンをコードしており、関連性に興味が持たれる。さらに、ストレス条件に依存せず、PCaP1遺伝子破壊株において常に発現が上昇する遺伝子SKU5-similar6(SKS6)を見出した。地上部においてSKS6はPCaP1により常に発現が抑制されているが、根では逆にSKS6がPCaP1の発現を抑制していることを明らかにした。SKS6はPCaP1の生理機能に関連した役割を担っていると考えられる。
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