研究課題
特別研究員奨励費
本年度は、発達的支援システムの中核となる評価法の確立にむけて、次の四点を主に検討した。1.社会性認知に関わる評価法:PDDの社会性認知に関する神経学的特性を評価するための基礎的検討を行った。健常成人を対象に自己顔認知課題を実施し、NIRSと眼球運動計測装置を用いて、脳血流動態と視線パターンを同時計測した。自己顔認知時に右下前頭回周辺における酸素化ヘモグロビン濃度の上昇が有意に認められた。社会性認知に関わる責任領域の一つが示され、課題・測定法の有用性が示された。2.同評価法の運用:PDDの臨床症状と1で示した脳機能との関連を検討した。健常成人・定型発達児・ASD児を対象に、1の実験パラダイムを行うとともに、臨床症状と心理的特性を併せて評価した。結果、臨床症状が重篤であるほど、脳機能が低下している一方、自己意識傾向が強いほど、脳機能の賦活が認められた。臨床症状・心理的特性を脳機能によって客観的に評価可能と示された。3.行動面の評価および介入による変容:PDD児の向社会的行動を評価するために新規の二次元モーションキャプチャーシステムを開発し、評価を行った。PDD児は向社会的行動の前段階に注目行動の少なさが顕著であること、介入によって注目行動が増加し、向社会的行動を示すことが明らかとなった。4.発達性ディスレクシアに関わる評価法:Magnocellular systemを神経生理学的に評価する視覚誘発電位(VEP)の評価法を模索した。新規の刺激により一定程度の同systemの機能評価が可能であり、発達性ディスレクシア児がVEPに特異性を認めると明らかになった。以上、四点より、発達的支援システムの中核をなす評価法が、教育・心理・神経生理学等の観点からの複数の異なる領域から、融合的アプローチによって到達出来たものと考えられる。
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