研究課題/領域番号 |
08J09602
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
発生生物学
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
下北 英輔 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2010年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2009年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2008年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | Secondary neurulation / 神経管 / 上皮化 / ニワトリ胚 / Pax2 / Sox2 / Tbx61 / Rho family / 管形成 / 上皮極性 / 神経分化 |
研究概要 |
我々の体の中にある多くの器官は上皮細胞によって構成される管構造から成る。生体3次元環境における上皮管形成の仕組みを知ることは極めて重要であるにもかかわらず、モデル系の欠如からその解析は立ち遅れている。本研究では、体の後方領域(尾側)で見られる神経管形成Secondary neurualtion (SN)を新たなモデル系として立ち上げ、その形成メカニズムについて解析を行った。SNでは、間充織細胞が上皮化することによって、管構造が形成される。また、本研究では、ニワトリ胚を用いて解析を行っている。 まず、遺伝子操作の実験系を確立するためにSNを起こす細胞の由来を検証したところ、後方神経板の上皮細胞に由来することが分かった。次に、SNで発現する転写因子Pax2を本来は管構造を作らないはずの中胚葉領域に強制発現させたところ、Pax2を発現した細胞は異所的にSNを起こし、神経管を形成することを示した。また、Pax2の下流では、転写因子Tbx61の発現抑制が必要であることを示した。さらには、Pax2は転写因子Sox2のN1エンハンサーを介してSox2を発現させること、そしてSox2が異所的なSNに必要十分であることを示した。その他、アクチン骨格制御因子として知られるRho family (Rac1, Cdc42)遺伝子の役割を調べた。その結果、Rac1の適度な活性化がSNの上皮化に必要であること、Cdc42の活性は低く抑えられていることが重要であることが示された。 本研究では、Sox2(Pax2)といった転写因子がSNのマスター遺伝子として機能することを明らかにした。ランダムな間充織細胞から規則正しい上皮管構造への変化がこのような単一の転写因子の発現調整によって、引き起こされていることはとても意義深い。本研究の結果は、管構造の詳細な形成メカニズムを理解する上での重要な足がかりになると考えられる。様々な細胞を管構造へと変化させることが可能になれば、再生医療への応用も期待できる。
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