研究概要 |
近年,工場内のネットワーク化に伴い,複数の生産機器が通信路を介して情報をやりとりする協調作業の研究が注目されている.このような作業では,機器同士が正確に連動・同期している必要がある.本研究では,ネットワーク越しで複数機器が協調作業を行うための制御手法,特にサブシステム間での同期手法を開発する.前年の平成20年度には,切替え型オブザーバによる同期手法を提案した.さらに,本手法を実装する上での課題,具体的にはセンサ情報に含まれる異常値(外れ値)について検討した.異常値は,フィードバック制御のようにセンサ情報をリアルタイムで利用する場面では影響が大きく,適切な対策が必要である.平成21年度では,異常値への補償方法として提案した切替え型オブザーバの実機検証を行った.切替え型オブザーバは,推定に有効なセンサをオンラインで選択し,ゲインを切替えて計測対象の状態を推定するアルゴリズムである.これにより異常値が発生する場合でも高精度なセンシングを実現できる.実機検証では,画像情報を用いた協調作業を想定し,カメラ計測時の異常値を実測した.計測の際には,光源の照射,カメラと計測対象間に障害物を挿入(オクルージョン)等により異常値を生成した.このような実環境下で提案手法を適用し,従来手法よりも計測精度が良好であることを確認した.本結果を第53回システム制御情報学会研究発表講演会(SCI'09)にて発表し,そして国際会議SICE Annual Conference 2010へ投稿して受理された.また学会誌にも投稿し現在査読中である.
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