研究課題/領域番号 |
08J10764
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
生態・環境
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
柳川 勝紀 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2009年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2008年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | 嫌気的メタン酸化 / ANME / 熱水性堆積物 / 二酸化炭素 / 酸性 / mcrA |
研究概要 |
海底下から供給されるメタンの8割以上は、嫌気的な堆積物中で微生物により消費されることが知られている。この反応は、嫌気的メタン酸化と呼ばれ、古細菌(ANME)によるメタン酸化反応と硫酸還元菌による硫酸還元反応が共役した複合的な反応であり、地球上の炭素循環に大きな影響を与えている。ANMEは単離培養されておらず、生理学的性質や特徴を明らかにすることは必須であることから、本研究では、沖縄トラフ第四与那国海丘の熱水性堆積物を対象に、ANMEの活性や分布の測定を通じた生理生態学的研究を行った。本海域では、熱水に由来する高濃度のCO_2により、pH4付近まで低下した酸性環境が堆積物中に形成されている。この特異的環境で、活性を有する微生物を特定するため、堆積物試料からRNA分子を抽出し分子系統学的解析を行ったところ、ANMEと硫酸還元菌の存在が示された。同時に、古細菌と硫酸還元菌からなる微生物共生体を顕微鏡観察で確認することができた。嫌気的メタン酸化活性測定の結果もこれらの事実と合致し、pH4以下の酸性条件下でも嫌気的メタン酸化活性が検出された。こうしたことから、酸性環境に適応したANMEと硫酸還元菌が存在し、これまでの知見よりもはるかに低いpHまで生息可能であることが強く示唆された。また、化学因子との対比から、硫酸塩の顕著な減少に伴う熱力学的制約がANMEの分布と活性を強く規制する要因であることも推測された。
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