研究課題
特別研究員奨励費
アルツハイマー病(AD)は、アミロイドβタンパク質(Aβ)の脳内の蓄積により生じる老人斑を特徴とする神経変性疾患である。アミロイド前駆体(APP)がセクレターゼによる切断をうけてAβが生じるが、Aβ非産生経路ではαセクレターゼがAβ配列中を切断するため、Aβを産生しない。αセクレターゼとして、ADAM(A Disintegrin And Metalloprotease)ファミリーに属するADAM9、10、17が同定されている。私は以前に、ADAM19がAPPの構成的なαセクレターゼであることを示した。本研究では、ADAM19の分子認識機構や活性調節メカニズムを明らかにすることを目的として、酵母2ハイブリッド法による相互作用分子の探索を行った。その結果、ADAM19細胞外結合タンパク質として、CRIP2、TESK1、VAMP2を同定した。CRIP2の非古典的な細胞外分泌にADAM19が関与することを示し、VAMP2については分泌型ADAM19の輸送に関与している可能性を示唆した。以上の結果は、これらの結合タンパク質がADAM19の活性調節に関与する可能性を示唆した。次に、サントリー株式会社との共同研究において、1,3-Capryloyl-2-arachidonoyl glycerol(8A8)にαセクレターゼ活性化能があり、Aβ40の分泌抑制効果があることを示した。また、8A8は、脂質ラフト量を減少させることによって、Aβ非産生経路を活性化することを明らかにした。この成果は、αセクレターゼを活性化する脂質としての有用性を示した。
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Neuroscience Letters 450
ページ: 324-326
J. Neurosci. Res. 87
ページ: 360-368