研究概要 |
乳幼児が他者の発する情動・感情刺激を利用するメカニズムについて明らかにすることを目的とし、本年度は、生後13ヶ月の乳児における情動・感情価を持った他者の視線追従について検討および,そのような表情に対する注視傾向に対する検討を行った。 その結果,生後13ヶ月児においては,成人に見られるような,視線方向に対する反射的な注意定位反応は認められなかったが,その視線の先にあるモノを注視するまでの反応時間においては,弱いながらも視線方向の影響および情動・感情価の影響を受けることが明らかとなった。この結果は,乳児が情動・感情価を視線の先にある対象物と結び付けて処理を行っていることを示唆すると考えられる。 またその他,恐怖表情に対する選好の発達的変遷についても検討を行った。その結果,成長とともに,恐怖表情に対する注視時間は、中立表情に対する注視時間と差がなくなってくることが明らかとなった。この結果は,恐怖表情を伴う視線が指している対象物に向けての乳児の行動調整は,その表情の新奇性にのみよるものではないことを示唆すると考えられる。
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