研究概要 |
当該年度に実施した研究では,前年度に作成したペプチド材料を細胞培養基材として利用した場合の細胞挙動を調査し,細胞培養に有意となりうる細胞培養基材の設計方法を評価した.前年度に設計したマテリアルや脱細胞化培養基材上で,様々な細胞種での培養を行うことで生物学的評価を行い,材料学と培養細胞の分化挙動や運動性について評価した.マウスES(mES)細胞をナノファイバー上で培養したところ,既存のmES細胞の培養方法と接着率・増殖率に有意な差は見られなかった.これらの基材上で培養した細胞は,Oct3/4,SSEA-1,ALP染色により細胞のstemを維持していることを確認したものの,コントロール群と比較しても明確な差は得られなかった. 中胚葉分化誘導用基材として利用した場合も,Flk-1陽性細胞の発現量に有意な差は認められなかったものの心筋細胞へと分化を誘導したところ,他の培養基材で培養した細胞よりもナノファイバー上の基材で分化誘導した細胞の方が高密度に細胞凝集が認められ、自己拍動する細胞コロニーが多く存在することがわかった。 以上,自己拍動心筋細胞への分化誘導には,培養基材の性質が影響していること示唆された.
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